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2019-04-02

生きていることが唯一の治療法

わたしもアトピーを発症してしばらくの間は、いろいろな病院で診てもらったりしていました。原因を探し出して、それを取り除けばきっとケロリと治ってしまうだろう。いまはそれが見つかっていないからこういう症状が出ているだけなんだ。原因さえわかれば、こんな病気とはすぐにオサラバだ。そう信じていました。

アレルギーの検査をすると、詳しいことは忘れてしまいましたが、まあ、ふつうの結果が出ました。”ふつう”というのは、ハウスダスト、ダニ、いくつかの植物の花粉などにある程度の反応が出る、という感じです。食べものにはアレルギー反応は出なかったと記憶しています。

ハウスダストやダニなどにも、まるで反応ゼロという人はおそらくあまりいないのではないかと思います。それでもみんなアトピーにならずに暮らしている……。つまり、”わたしの体”の力が弱いということです。

食べものにアレルギーを持っている方は、それはそれでたいへんな苦労があるかと思いますが、それを避けることができればひどい症状に悩まされることも避けられるということ。でも、わたしの場合は何か特定のものに反応しているわけではなく、言ってみれば自分が自分に過剰反応しているような状態。何をしてもビクとも動かない症状に、どうしたらいいのかまるでわからず途方に暮れました。

一度、東洋医学の先生のところで診てもらった際に、「膠原病が疑われるから大きな病院で検査をしてもらったほうがいい」と言われ、両親の手を借りて、たいへんな思いをして朝早くから病院に出かけたこともありました。結果、膠原病ではなくとてもホッとしましたが、その先生も悪気でないとはいえ、ただでさえ苦しいうえに無駄な検査をしに行かなくてはならなかったことにわたしはとても腹が立ちました。「いいかげんなことを言わないでほしい」、そう思いました。

そのほかにもいろいろな病院やクリニック、民間療法の治療院などに行きましたが、わたしを救ってくれたところは一つもありません。だいたいの先生が、わたしの肌をチラッと見ただけで、触りもせず、話も聞かず、大量の塗り薬と飲み薬を処方する。その繰り返し。

わたしはしだいに、どこかの誰かが、あるいは何かの薬がわたしを治してくれるということはないんだということを悟ります。わたしを治せるのは、わたしだけなのです。

わたしの体の力を高めることでしか、わたしは治らない。時間はすごくかかるけれど、それしかないのです。こう書くとずいぶん積極的に聞こえるかもしれませんが、あのときはあまりに具合が悪かったので、積極的だったわけではありません。それよりも、わたしに残された方法はそれしかなかった、というほうが近いです。

ただ、どうにかして生きるだけ。自分の力を信じて、一日一日なんとか生き延びるだけ。病院に行くこともつらいし、つらいのを我慢して通ってもよくならなかった。だったらわたしは自分で自分を治す。どこにも行かれないけれど、日々体によいものを食べて、悪いと思われるものは極力避け、死なずに生きているだけ。それがたった一つのわたしの治療法でした。ようやく生きていることで、わたしはほんの1ミリずつ、よい方向に進んでいったのです。

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